SPUR series

雪原を滑った後に残る「シュプール」のように、絵具上を絵筆が通ることで生まれる痕跡で描いたシリーズ。

このシリーズにおいて、プロッターが運ぶのはインクではなく、粘度を持った絵具と、それを制御する絵筆である。支持体の上に置かれた絵具の海を、プログラムされた筆が通過する。その時、筆先は物理的な「抵抗」を受けながら、絵具を押し分け、引きずり、あるいは堆積させる。そこに残るのは、単なる色の線ではなく、筆の毛一本一本の動きが刻印された、立体的な「溝」としてのドローイングである。

人とコンピュータの対話から生まれたパス(経路)は、無機質な数値情報に過ぎない。しかし、それが物理的な粘性と接触することで、二度と同じ表情を持たない有機的なマチエールへと変貌する。制御された筆圧と、予期せぬ絵具の流動。SPUR seriesは、その拮抗が生み出す「秩序と偶発の同居」を、鮮烈な物質感とともに提示するのである。

  • Year: 2024
  • Material: ユポ紙・水彩絵具
  • Size: 584mm×837mm・392mm×507mm
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